竹久夢二記念館
竹久夢二記念館
毎年のお茶仲間との旅行、今年は季節を変えて緑の美しい上州伊香保へ行ってきました。
その中でも今回竹久夢二記念館でのことは滅多にない経験だったので、興奮冷めやらぬうちにアップします。
伊香保温泉にある竹久夢二記念館
たまたま宿の真ん前だったので3時のチェックインの後すぐに皆で行きました。
洋服にペタッと、これが入館券。
まずピアノのあるホールで簡単に夢二の生涯を説明され案内の方が「宵待ち草」を弾いてくださいました。
館内撮影許可が下りなかったので写真がないのが残念ですが、たまにコンサートもされるような素敵なホールでした。
私たちがお茶の仲間であることがわかると、是非お茶室へと誘ってくださったので敷地内にある「聴雪庵」へ。
51歳で逝った夢二の命日が9月1日なので毎月1日にこのお茶室が開くそうです。
床の間には夢二の直筆のお軸、お花はつゆ草でした。
その後この記念館を建てた館長さん木暮亨氏が、ご自身が編纂されたこの本に直接サインをしてくださると案内されたのが喫茶室の奥のこのお部屋
館内どこもアールヌーボー?アールデコ?(この区別がよくわからない)の素敵な装飾であふれています。
ここでまたコーヒーとお菓子をいただいたのですが、このカップが夢二の絵
御年82だという木暮氏、残念ながらお写真断られてしまいましたが、とてもウィットに富んだ紳士。
楽しくお話しながら一人ずつ筆で夢二の詩や俳句を添えてサインをくださいました。
私には記念館の入り口にある夢二の和歌「久方の 光たたえて 匂うなり 榛名の湖に 光たちにけ里」を。
これだけでももう充分想定外の嬉しい出来事だったのですが、この後もっと素晴らしいことが待っていました。
なんと事前に予約しないと見せていただけないという蔵座敷に特別案内していただいたのです。
蔵座敷に通される前に館長さん自らこの夢二の「五月の朝」の絵葉書を一人ずつ渡しながら
「あなた方は、こういうはがきや写真など印刷されたものを見るだけでこの絵がわかったつもりでいるのでしょうが、本物というのは全く違います。」と。
そして厳重な扉が開きさらに奥の襖が引かれると、一同驚嘆の歓声です。
お茶室の奥に掛けてある「五月の朝」は絵葉書にあるそれとは違い、今にも女の人が絵から飛び出してきそう。
そういえばもう何年も前にフィレンツェのウフィッツィー美術館に行った時も、ラファエロの聖母子像が写真で見るのとは全然違うと思いましたっけ。
でも美術館はどこでもそうですが、一部屋にいくつも絵がありしかもガラスケースに入っていたり、とてもその絵だけを鑑賞するという感じではありません。
ところがこの部屋はこの「五月の朝」だけのために設えられたお部屋です。
絵の前には燕子花が活けてありました。
なんという贅沢な、そして理想の美術館!
大感動しました。
やはり芸術は本物に触れないとダメですね。
館長さんはお茶室を展開した美術館を作ることが夢だったそうです。
以前台湾の友人雪豊をお茶のお稽古に連れて行ったとき、お点前が終わった後で「コンサートへ行ったみたいでとても楽しかった」と言ってくれたけど、なるほどこういう絵の鑑賞の仕方はまさにコンサートです。
閉館時間を過ぎても館内を説明しながら案内してくださり、気が付けば夕食を予約した6時を30分も回った時間。
名残惜しいながらも急いで宿に戻りました。
この蔵座敷の絵は季節ごとに変わるそうです。そして絵に合わせて設えも。
有名な「黒船屋」は9月だそうなので今度は是非それを見に行きたいです。